大学の初年次教育のテキスト

これまでの記事の中で、何回か「初年次教育」と書いていますが、大学関係者以外の方にはわかりにくい言葉ですよね。大学関係者でも、結構知らない人が多いようですが(汗)要は、大学1年生向けに、高校までの「学習」から大学での「学問」に導くための教育のことです。
最近、仕事の都合で、その関係の本を読み漁っているので、いつくか簡単にご紹介します。

知へのステップ 改訂版

知へのステップ 改訂版

2002年に出版された本が2006年に改定されたものです。ノートテイキング(ノートの取り方)に始まり、情報や文献の収集・整理、レポート等のアカデミック・ライティング、プレゼンテーションなど、およそ初年次教育に必要と思われるものは、すべてカバーされています。おそらく初年次教育では、いちばん有名な本でしょう。1章が1回の授業に相当しているし、内容も比較的汎用性があるので、今年のテキストに使ってみようかなぁ。

プラクティカル・プレゼンテーション

プラクティカル・プレゼンテーション

上の著者グループの一部の方々が書かれた、プレゼンテーション全般に関する本です。プレゼンにおいて「何をどう伝えるか」を重視して、バリエーションに富んだ課題が掲載されています。自己紹介&他己紹介、同窓会の幹事、ポスターセッション、国際会議場上の使用プランなど、題材は本当に多彩ですが、プレゼン本来の「自分の考えを相手に正しくわかりやすく伝える」という目的から考えると、非常にいい題材をそろえていると思います。題材ごとにつまみ食いして自分の授業に取り入れるといいかもしれません。プレゼンという側面から、初年次教育に活用することもできます。

レポート・論文・プレゼン スキルズ―レポート・論文執筆の基礎とプレゼンテーション

レポート・論文・プレゼン スキルズ―レポート・論文執筆の基礎とプレゼンテーション

リテラシー」という観点から、レポートや論文、プレゼンにおけるスキルを解説した本です。特徴は、パワーポイントのスライドのように、1ページにつき1つの内容が大きな文字や図表が書かれています。内容としては、他の初年次教育の本に比べて、ちょっと小難しく説明が不足している気もするのですが、「1ページにつき1つの内容」という割り切りの良さで読みやすくはなっていると思います。

大学 学びのことはじめ―初年次セミナーワークブック

大学 学びのことはじめ―初年次セミナーワークブック

最後に紹介するのは、著者の先生に献本していただいた本です。この本は、ほかの初年次教育の本とはちょっと毛色が変わっていて、内容が大きく「キャンパスライフ」「スタディスキルズ」「キャリアデザイン」の三つに分かれています。たいていの初年次教育の本は、キャンパスライフにちょっと触れてスタディスキルズがメイン、という構成ですから、かなり異色の本です。ただ、この本ができた経緯は、著者グループのある先生がコツコツと毎日の授業から作り上げた成果だそうですので、実際のゼミ活動に適しているのかもしれません。もう一つ面白い特徴があって、すべてのページがミシン目で切り取り出来るようになっています。ワークシートの部分もあるので、必要な部分を切り取って、学生に自分のノートを作らせることができるようになっています。