読んだだけでわかったつもりになるのは間違い

昨日書いたように、今週から時間に少しだけ余裕ができたので、来年度の授業の準備をはじめています。まずは、初年次教育の授業から。

昨年度と今年度は、初年次教育やアカデミックスキルに関する本を読んで、それらの「エッセンス」*1をまとめた資料を作って、授業で使ってたんですよね。
ただ、個別の資料はそれでいいとしても、授業全体のながれとしてそれでいいのか、結局は学生が積極的にそれらのスキルを使わなければ身につかない、ということに迷ってました。そういう迷いを少しほぐしてくれたのが、この本。

大学基礎講座 改増版: 充実した大学生活を送るために

大学基礎講座 改増版: 充実した大学生活を送るために

京都光華女子大学での初年次教育の授業での実践をもとにした本です。2002年に旧版の『大学基礎講座』がでているんですが、それをより使いやすく各章のトピックをまとめたり充実させています。ノートの取り方にはじまり、大学の授業スタイル、テキストの読み方、考え方、図書館の利用、レポートや論文の書き方、発表のしかたなど、アカデミックスキルとして内容に漏れがありません。
授業の教科書として使えるように作られてあるので、大学1年生が読んで理解できる内容です。でも「読んだ」だけでは、この本に書いてあるスキルや態度、考え方は身につかないでしょう。そこは教員が授業をどうデザインするかに係ってくるのでしょう。
本書のポイントは、「読み方」や「書き方」だけでなく、「考え方」についても1つの章を割いて説明しているところだと思います。だって、単にテキストを読んで、なんやかんやでまとめて書いたレポートがまともなレポートになるとは思えません。読んで考え、書く前に考え、書きながら考える、と繰り返し考えることが重要だと思うのです。自分のこれまでの授業でも足りない点はその部分と、読む・調べる・考える・書くといった作業のながれを授業に上手く落とし込めていなかったところでした。
いろんな事情で教科書としては使うことはできなんですが、授業をデザインする上での「教科書」とさせてもらいたいと思います。

*1:「エッセンス」といえば聞こえはいいですが、ある意味寄せ集めて圧縮したもの。