情報モラルのデータ集

仕事半分、研究半分の目的で読んだ本。ざっと読んだところです。最近、情報モラルの重要性が認識され「つつ」ありますが、その分野の実践的な取り組みで有名な先生が書かれました。豊富なデータと実際の事件、各種資料に基づいて、ネット世界に関わるための情報リテラシ、情報モラルの課題を指摘されています。

実は、最初にさらっと読んだ(という見た)ときには、「あまり内容がないなぁ」「やけにデータとか資料が多いなぁ」と思いました。あとのほうの印象は、今でも変わりはありません。
しかし、前半の印象は、ある程度読んだときに変わりました。紹介されている多くの事例・事件から、その問題点や課題を的確かつ明快に指摘されておられます。また、それらに対する解決策や対応も、理想像だけでなく、きちんと現実的な視点で語っておられます。

とくに印象的だったのは、最近問題になっている「ネットいじめ」について、ネットに問題があるのではなく、人の心の問題だと述べておられるところでした。私も、同じようなことを考えているので、同感しました。また、悪意のある書き込みが、必ずしも子どもだけでなく、たいていは大人が書き込んでいるという指摘も同感です。

個人的に、一点だけ残念なところがあります。図表がイマイチだなぁと思いました。おそらく執筆時間に制限があったり、製作段階でのいろいろな事情があったのでしょうが、もう少し図表に手を加えて、デザイン性も考慮していただきたかったです。文句はこれだけ。
読める書籍として、これだけ情報モラルに関する事例・事件を集めた本は、なかなかないと思います。そういう点では、情報モラル教育に関わる人、また情報モラルを知りたいと思う人には、おすすめできる資料だと思います。