初年次教育と「実用日本語力」
年度後半の授業もはじまってしまいまして、バタバタしているわけでもないのに、頭はそこそこ動いているのに体がついてこない感じです。教える側がそうなんですから、学生も同じでしょうけど(汗)
さて、後期の1年生のゼミで何をやろうかな、ここ1週間ほど考えていたんですが、その参考にと読んだのが、『新聞で学力を伸ばす』という本です。
- 作者: 齋藤孝
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/08/10
- メディア: 新書
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本書のテーマは「実用日本語力」。ものすごく簡単にいえば、「新聞から気になる記事を切り抜いて内容を自分でまとめたり意見を考えることを繰り返すことで、実社会で必要となる実用日本語力を身につけよう」という内容の本です。実用日本語力というのは、次の7つの能力としています。本書では、この能力をメディアリテラシーと位置づけています。
- 事実と意見を区別できる
- 複数の情報を比較し、判断する
- 複数の視点(意見)を理解し、比較し、統合的に考えられる
- 情報の発信側の「意図」を見抜く力
- 客観的情報を整理して話す(書く)
- 自分の意見を具体的根拠と共に整理して話す(書く)
- 情報を整理して説明でき、さらに自分なりの「角度」のあるコメントをつけられる
これらの能力は、大学生にとっても重要です。最近では、初年次教育のなかで「アカデミックスキル」として扱われることも多いです。これらの能力の育成に、新聞を切り抜いてまとめる一連の作業がいろいろと役立つことが、本書の半部以上のスペースを使って説明されています。ちなみに、本書の前半は、PISAの結果をもとにした実用日本語力の重要性や、(おそらく本書を出すきっかけとなった)新学習指導要領にともなう国語の教科書の大きな変化について書かれています。
著者の齋藤孝さんの実践がもとになっていますし、紹介される新聞記事がこの1年ほどの間のもの(本書の発行は8月)で、自分がこの方法を使うのならどうすればいいかを具体的に考えながら読むことができます。本書で紹介されているワークシートを導入してみれば、私のゼミでも使えるかな。学生を見ていると、これらの能力の重要性にはあまり気づいていないようですし。