何もないところからいい考えは浮かばない

昨年、お仕事の関係でワークショップのようなものやグループワークなどを仕切る仕事をやらせてもらった関係で、集団で何かを生み出す作業にちょっと興味を持っています。以前から、アイデアの発想とかには興味があったんですが、一人で考えるのも悪くないのですが、大勢で何かを考えだすのも悪くないですよね。
しかし、いきなり「皆で考えてみよー!」なんて呼びかけても、いい考えなんて生まれません(汗)ちょっとしたことでも構わないので、ある程度の「仕掛け」が必要だと思うのです。そんなアイデアを生み出すための役立つ仕掛け(スイッチ)が紹介されているのが、今回読んだ本です。

アイデア・スイッチ

アイデア・スイッチ

本書ではアイデアを「既存の要素(体験、知識、情報など)の新しい組み合わせ」として、既存の要素をたくさん引き出すことにまず注目して、そのための手法や道具を紹介しています。そういう技法を「創造技法」というそうですが、この本では「短時間に」「たくさんの」アイデアを引き出すための既存の創造技法や著者が創り上げたいくつかの道具を、使い方、コツ、発想のサンプルの3点セットで紹介しています。具体的に使っている様子がわかるので、実際に利用するときに参考になりますね。個人的には、ブレインストーミングの章が大変参考になりました。

ただ、本書に期待していたのは、もうちょっと授業など学校のなかで使える技法の紹介だったんです。紹介されているもののほとんどは、主にビジネスのなかで使える技法ではないかと思います。教育の中とかで使うには、ちょっと工夫が必要ではないでしょうか。
ただ、本書には紹介されていないのですが、著者が考案された道具で「これはすごい」と思ったものがあります。「ブレイン・ライティング・シート2」というもので、少人数のグループで協力してアイデアを生み出す技法と道具です。

ブレイン・ライティング・シート2

ブレイン・ライティング・シート2

詳しいことは、著者の石井力重さんが大学の講義で実践された報告ですとか、その講義の担当者である「情報考学 Passion For The Future」の橋本大也さんの記事を見ていただくのがいいと思います。とくに、石井さんの報告には講義で使用されたスライドが掲載されているので、「ブレイン・ライティング・シート」がどのようなものなのか、よくわかると思います。