教育の現場からは「影」というより「闇」が目立つ

いつもの研究会で紹介していただいた本なのですが、個人的にはひさびさに大変参考になる本でした。『児童心理2008年10月号臨時増刊 ケータイ、ネットの闇』という本です。教育の現場や心理学などの立場から、インターネットやケータイの現状について書かれた内容が多いです。たまたま近所のスーパーの書店で購入できて、すごくラッキー。

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ネットいじめ、「学校裏サイト」、有害情報へのアクセスなどが社会問題化するなかで、子どもたちに普及してゆくケータイ、インターネット。その利用実態から浮かび上がる課題にどう取り組むべきかを提案します。

http://www.kanekoshobo.co.jp/np/inner/162101

たいてい、ネット社会の問題を取り上げる場合は、良い面と悪い面をある程度バランスをとって取り上げるんでしょうが、本書はその性格上、悪い面=闇の面を中心に取り上げています。あまり良い言い換えではないかもしれませんが、情報モラル教育に左・右があるとすれば、右側のスタンスかもしれないですね。ネットの規制に厳しい方や、ネットが子どもたちに与える影響があまり良くないというスタンスの方の文章がすくなくありません。

ただ、基本的には子どもたちを取り巻くネットやケータイ社会の問題・課題を冷静に見つめ、それに対してどう対処していくべきかということを、やや教育の現場から見たスタンスで真摯に考えておられる内容が非常に多く、大変勉強になりました。とくに、学校では今どうなっているのかを知るのには、最近の書籍の中では一番良いように思います。

個人的には、情報モラル教育は生涯教育を目指していくべきじゃないかなと思っています。ただ、今は子どもたちを取り巻く現状が大変で、その収拾に学校の先生方は追われてしまい、家庭では現状を把握できていないし下手をすると無関心な場合もあるという問題があります。ですから、現状として、学校、とくに小中学校での情報モラル教育もきわめて重要だと思います。ただ、それが将来の社会を豊かにするものであればよいのだが、と思う次第です。