ケータイ・コンテンツを飛躍させる要素

ちょっと前に、ケータイでのコミュニケーションの本を読みました。お仕事で、高校生に情報モラル関係のお話をしないといけないので、そのネタです。で、今回の読んだ本も、その流れで「実際、ケータイのコンテンツってどーなってるのよ」というのを解説した本です。

ケータイ・コンテンツの現時点での最大の成功者といえる、モバゲータウンというか、モバゲーを運営するDeNAディー・エヌ・エー)の戦略を全体の中心に置いて、おもにキャリア側とコンテンツプロバイダ側の動き、そしてユーザ側の反応を、取材や各種資料をもとに調査・分析して、ケータイの進化とケータイ・コンテンツの変化を読み解こうという内容です。

結論だけ書いてしまえば、複数の要素がうまく絡み合って、協調し合って、今のケータイ・コンテンツの繁栄がある、ということだと思います。

  • 第3世代の携帯電話の登場、iモードをきかっけとするケータイのインターネット端末化、そしてパケット定額制という、携帯電話キャリア側の動き。
  • ケータイのインターネット端末化とパケット定額制、さらにGoogleYahoo!などインターネット側の検索技術の導入による、公式サイトから勝手サイトへのケータイ・コンテンツの移行という、コンテンツ・プロバイダの動き。
  • キャリアとコンテンツ・プロバイダの密接な提携による安心して利用できるケータイ・サイトの多様化と増加、パケット定額制によるケータイでのネット利用者の増加、などのユーザ側の動向。

本書を読んでみると、現在のようなケータイ・コンテンツの活躍はある意味偶然の産物のようにも思えます。また、「DeNAauは先読みがうまかっただけ」とも受け取れなくはないです。でも実は、キャリア側とコンテンツ・プロバイダが、競争しつつも協業することで、いいバランスが生まれ、ケータイ・コンテンツをここまで盛り上がったことがわかります。そして、それを可能にしたのが、インターネット技術とパケット定額制ではないでしょうか。

情報モラルという側面からでは、本書の最後のほうに書かれている、ケータイ中心のユーザの実態が興味深いです。ケータイのほうが、パソコンに比べて、起動も早いしインターフェースも単純。パソコンでのインターネットは調べものくらいで、コミュニケーション(情報の受発信)はケータイがメイン、というのがケータイ世代の使い方です。「個人のための」という意味では、ケータイのほうがパソコンより適しているのかもしれません。