30センチのメディア

携帯電話のことを「距離30センチのメディア」とか「半径30センチ以内のメディア」といったりするようです。言い始めたのが誰かはわかりませんが、それくらい身近なメディアだという表現なのでしょう。

で、「30センチのメディア」でググってみたら、「30センチのメディアはテレビ」だという文章を見つけました。「踊る大捜査線」などの作品で有名な亀山千広さんの講演からです。

 僕はずっとメディアにかかわってきましたが、その中で気付いたのは、人とメディアとの距離感は、①3ミリ、②30センチ、③3メートル、④30メートルの4つがあるということです。

3ミリのメディアは携帯電話です。これは圧倒的な1対1の、パーソナルな「コミュニケーション」です。30センチはパソコンや本。自分の時間を使って自分が知りたい情報を調べるという意味において、非常に「インタラクティブ」です。3メートルは、テレビ。点けた瞬間に圧倒的な情報を垂れ流す「マスコミュニケーション」です。皆さんも時計代わりにテレビを見ることもあるだろうし、能動的に見るケースもあると思いますが、点けていれば興味がない情報でも勝手に入ってきますよね。30メートルは映画、「イベント」です。映画でなくても、舞台やサッカーの試合、コンサートなども30メートルのメディアですね。ただ、この30メートルのメディアだけは、残念ながら向こうから人がやってきてくれません。つまりメディア側から行くしかない。そこで僕は、30メートルに行かせるために、いかに①〜③を使うかということを考えています。

JASRAC寄附講座 音楽・文化産業論�U

たぶん亀山さんは、メディアと眼や頭との距離で、区分されているんでしょうね。まぁ、ケータイの画面を3ミリの近さでは見たりしませんが(汗)、それくらい近いというのはよくわかります。ケータイの画面を見るときって、目から10センチくらいしか離れてないんじゃないのかなぁ。

しかし、この距離がもし人とだったら、どうなんだろうと思うと、ちょっとおもしろいです。距離10センチ程度で話をする相手って、そうとう親密な人物ですからね。30センチなら、親しい友達とかかなぁ。そう考えると、ケータイの画面を通してコミュニケーションをとる相手って、自然と親近感がわくのかもしれません。良くも悪くも。