デジタルコンテンツと知財管理

先週末は、京都外大さんのシンポジウムへ行きました。ひさびさに京都の大学にいったのですが、やっぱり雰囲気いいよなぁ。住んでいるときは当たり前の景色だと思うのですが、京都駅からバスに乗っていったせいかもしれないですが、古い街ならではの雰囲気がいいです。

さて、今回のシンポジウムは、京都外大さんがマルチメディア語学教材を作成するためのスタジオを新しく作られたので、その見学や京都外大さんの取り組みの紹介、国内の大学でのデジタルコンテンツ作成の事例3つの紹介がありました。
最初に感想を書いておきますと、結構有意義なシンポジウムでした。いい話も、同感する話も聞けて、これから大学でデジタルコンテンツを作るうえでの課題が、いくつか明らかになったと思いました。


さて、最初はスタジオ見学。スタジオは、規模としてはこじんまりとしてましたが、しっかり作ってあって、素直に「凄いな」「お金かかってるな」と思いました。いや、お金をかけて作ろうと思えば、いくらでもお金がかかるのでしょうが、身の丈というかやりたいことに合わせて作ってあるというのが、良かったです。なんか、京都らしくもあります。

京都外大さんの取り組みとしては、特色GPに採用された、ティームティーチングによる二言語同時学習のお話。「二言語同時履修ってどないやねん?」とお話を聞く前は思っていましたが、同一の教材を題材に、二つの言語(例えば、英語とフランス語)の教員があれこれ掛け合いをしながら、言語だけでなく習慣や文化についても教えていくというものだそうです。さらに、留学生を活用して、アシスタントとして入ってもらい、現地の生の情報もからめるというのが、面白いですね。
ただ、発表自体はデジタルコンテンツの作成にまつわるお話で、最終的にはデジタルコンテンツを作成していく上での人的・時間的・その他いろいろな課題があることをお話されていました。これが、あとのパネルディスカッションに関係してくるんですよね。

デジタルコンテンツの作成の事例は、最初は、京都大学学術情報センターの取り組み。コンテンツ作成室があって、大学内の各種デジタルコンテンツの作成や支援をしているそうですが、なかなか本格的。まぁ、そのための人材をきちんと確保してらっしゃるからですが、それがなかなか難しいそうです。国立大学さんらしい、いろんな事情があるみたい。
2番目は、BEAT@東京大学英語教材の紹介。企業で実際に使われる英語をそこの社員さんに教育するためのデジタル教材を紹介されていました。手間隙とお金がかかっているのはさすがと思いました。文脈にあった英語教材という視点と、メールによる学習の動機付けみたいなのが、なかなか興味深かったです。
最後の事例は、大阪府立大学看護教育用のeラーニングプロジェクトのお話。現代GPに採用されています。どこかの学会で発表を聞いたことがあるような気もするのですが、とにかく完成度が高い。システムもそうですが、システムやコンテンツを作り上げていく手順の完成度も高いです。中心となった先生方のご尽力の賜物なのでしょうが、とにかく凄かったです。

最後は、パネルディスカッション。その前の事例発表もそうですが、質問内容からも、これからは教材作成の各種コスト(人・モノ・金)だけでなく、著作権や肖像権など知財管理が課題となってくるなぁと感じました。
個人的には、デジタルコンテンツを作るのは、アナログなコンテンツを作るのより、手間隙かかるかもと思ってたりします。そのあたりを京都大学の角所先生が上手く指摘されて、「作っていくと、想像力が広がりすぎて、最初の目標とはちょっと違う」ものができてきちゃうんですよね。そのあたりは、大阪府立大学の真嶋先生のおっしゃっていた、「事前の準備」の重要性が高くなってくるのだと思います。
で、最後には、京都外大の先生がご苦労されたお話を聞けて、同感するばかりでした。「自分が作ったものを、勝手に他の先生に使われたくない」とも思いつつ、「自分の教育を発信したい」という考えもある。でも、作るのは大変というのは、会場のほとんどが同感だったのではないかなぁと。で、他のパネラーからその先生へのエールという形で終わりました(笑)なんか良かったです。