eラーニングとインストラクショナルデザイン

青山学院大学が取り組んでいる、eラーニングの専門家の養成を背景に書かれた、インストラクショナルデザインの本です。昨年後半に購入してて、気が向いたとき暇なときに読んでいたので、読みきるのに時間がかかってしまいました。

eラーニング専門家のためのインストラクショナルデザイン

eラーニング専門家のためのインストラクショナルデザイン

本書は、下に挙げる5種類のeラーニングの専門家を養成するための、インストラクショナルデザインの入門書という位置づけです。

  • インストラクショナルデザイナ(IDを駆使して授業を設計し評価する人)
  • コンテンツスペシャリスト(幅広い知識とスキルを持って教材を作る人)
  • インストラクタ(実際の授業を行う人)
  • メンタ(学習者を助けて動機付けする人)
  • ラーニングプロデューサ(全体の運営や授業の支援をする人)

そして、専門家たちを、インストラクショナルデザインのプロセス(本書では下のADDIEモデル)と明確に関連付けて、基礎的な理論や手法の説明、eラーニング志向のインストラクショナルデザインの解説をしています。インストラクショナルデザインやeラーニングについて多少なら聞いたことがある、というレベルの人でも十分理解できる内容になっています。

  • 分析(Analysis):関係者や目的、学習環境を調べる
  • 設計(Design):目標や学習スタイルを設定して仕様書を作る
  • 開発(Development):関係者と協力しながら教材を作る
  • 実施(Implementation):実際に授業をする
  • 評価(Evaluation):学習成果や授業そのものを評価する

本書の読んで、インストラクショナルデザインの大枠は理解できたような気がします。また、実際にどのような人が必要なのか、どのような仕事があるのかも、わかったような気がします。ただ、これだけのプロセスが必要なインストラクショナルデザイン、これだけの人手がいるeラーニングは、どこでもできるもんじゃないのでは、と思ってしまいました。もちろん、本書ではひとりの教員がどうすればいいかということを解説しているわけではないですが。インストラクショナルデザインのいくつかの要素を抜き出して、自分の授業に生かせればといいのですが、結構大変そうですね。