今と昔は違う

最近はネットでの議論のあり方が問題視されています。つい先日も韓国の若手女優が自殺するというニュースがありましたが、本当の原因は違うところにあったようですが、ネットでの誹謗中傷が原因の一つではないかと当初報道があったようです。前例があったためでしょう。
議論のあり方は、別にネット上だけが問題視されるものでないことは、『会議』とか『○○会』という人の集まりを経験した人なら、誰もが現実でも問題視されることであると思うのではないでしょうか。そんな議論のあり方を「ルールブック」として、議論というものを構成するさまざまな要素やプロセスについて、問題点を指摘するという形式で解説したのが、この『議論のルールブック』です。

議論のルールブック (新潮新書)

議論のルールブック (新潮新書)

著者の方は、「炎上」や「祭り」のような最近のネット上での議論のあり方を問題視しているようで、かつての(おそらくは)パソコン通信時代の電子掲示板での議論とあまりにも違うことを懸念されています。匿名、口げんかレベルの発言、安易な誹謗中傷、思い込みなど、以前のネット上との議論との違いを指摘しています。
ただ個人的には、今と昔のネット上での議論のあり方が違うのは、当然だと思うのです。「ネットワークの外部性」という言葉がありますが、ネットに参加する人が増えれば、ネットそのものが普及していくという現象のことです。つまり、ネット上にネット上ならではの議論に慣れていない・知らない人たちが大勢存在しているということです。そして、今のネット上での議論のあり方というのは、そういう昔のあり方に縛られない人たちによって作られたものであるということです。
そういう意味では、この本で主張されていることがそういう人たちにどこまで通じるのか、難しいかもしれません。ただ、この本で書かれている議論を構成する要素やプロセスを知ることは、自分が議論に参加し、その議論を参加者の多くにとって有意義なものにするには大事なことだと思います。