一歩踏み出すのが大事

いまだに大学の先生から、「最近の学生はコンピュータが使える」「インターネットができる」なんて話を聞きます。でもね、そりゃ違うと思うんです。『検索をしてる』だけです。『情報を扱う』ところまでは到達できていないと思います。そんな学生に授業で時々いうことが2つほどあります。

  • 検索で集めたのはただの「データ」。意味のあるまとまりの「情報」にしないと。
  • 必要なことは、情報を「集めて」「まとめて」「使える」ようにすること。

情報化社会で大事な能力だと思うんですが、こちらの説明がうまくないこともあるのか、なかなか学生には通じなかったりします。でも、この本を読めば結構理解してくれるような気がします。

情報力

情報力

本書では、「ちょっと情報できる人」から一歩踏み出すのに大事なことが書かれています。データを情報に、情報を知識に、知識を知恵にと、情報の質を変化させるプロセスをツールやノウハウの紹介という形式で説明しています。

見開き2ページで1つのトピックを紹介し、大学1年生でも読みやすくできていると思います。ツールのなかには社会人向けのツールも多いですが、単にツールの紹介にとどまっているのではなく、そのツールは何のために使うのかがしっかり書かれているので、実際に紹介されているツールを使わなくても参考になります。
また、情報を構造化する手法として有名な「LATCH」を情報を引き出すための軸として紹介したり、情報のまとまりをPowerPointのスライド1枚にビジュアル化するなど、参考になるノウハウも数多く紹介されていて勉強になりました。

情報収集、情報整理、情報分析、情報活用という、情報を処理する一連のながれに沿って、内容が構成されています。全体として非常に役立つものが多かったのですが、読んだ読者にひとこと「どうだった?」という締めがほしいなと思ったのが、ちょっと残念でした。