「学生になめられない」の大切だが「学生をなめない」ことも忘れちゃいけない

大学で教える立場に立つ人で、少しでも自分がやっている教育に疑問をもったことがある人なら、読んだことがあるでしょう。宇佐美寛先生の本を。最近だと、FD(ファカルティ・ディベロップメント)関係で、推薦書みたいに扱われる場合もありますね。この本、結構前に読んでいたんですが、今あらためてざっと読み返してみましたが、やっぱり一番インパクトがあるのは、「はじめに」に書かれているこの文章だと思うのです。

 しかし、どんな分野、どんな形態の授業であっても、私の授業思想は有効であろう。すなわち「学生になめられるな。」「学生になめさせるな。」という授業思想である。常に緊張させ全力を当面の課題に集中させる学習活動を行うような授業においては、学生は、学問、授業、教師をなめることは全く無い。

大学授業入門

大学授業入門

タイトルだけ読むと、これから大学生になる人が読む本に見えますが、全然逆です。今まで大学の授業をやってきてちょっとでも自分の授業に迷いが生じた教員が読むべき本だと思います。宇佐美先生ご自身の授業のやり方は、本書や関連書籍で書いておられるます。読んでいるだけで、学生の立場になってしまってすごく緊張してしまいました。

私は、分野も授業形態も違うので、こういう授業が自分でできるかどうかはちょっと難しい、と今の時点では考えています。とくに、eラーニングを通常の授業でも使うブレンディッド・ラーニングという形態で最近は授業をしているため、学生にはある程度自由な時間と自由な雰囲気を与えています。ただ、そういう形態であっても、宇佐美先生の書かれているように「なめられない」ような方策、具体的には自分勝手な行為はさせてはいけないな、と思っています。

そして、あともう一つ最近考えていることがあります。それは、「適切にフィードバックをするのが授業をする側のお仕事」ということです。例えば、何回も課題を出させると、あとでまとめて採点するとかってことが結構あるんですよね。でも、eラーニングで自分の課題への評価がすぐにわかるようになると、面白いもので、学生は自分の点数やどこが悪かったがを早く知りたがるものです。*1だからこそ、学生をなめずに、こちらの仕事もきっちりして、適切なフィードバックをしないといけないなぁと、思うのです。非常にしんどい作用なのですが。こういうのを手助けする工夫を、eラーニングのシステムの中でできるといいかなぁと考えている次第です。

*1:全員とは言いませんが…