大規模システムのノウハウは小規模システムでも充分参考になる

大学のシステムというのは、もちろん大学そのもののの規模の大小にも関係しますが、端末の台数が多いのが特徴だと思います。大規模大学では端末数が数千台というところもあるでしょう。それらの端末を管理しサービスを提供する、サーバの台数は個人的にはそんなに多くないと思っています。最近は1Uや3Uぐらいのサーバで性能・機能とも十分なものが多いので、ネットワーク機器も含めて、ラックの台数にして10台以下で大抵のサービスが提供できるのではないでしょうか。

ただ、ネットワークサービスやウェブサービスを提供している会社は、もっともっとユーザ数が多いですし、ディスクの十分な容量が必要。そして肝心なのは、サービスが落ちないことでしょう。そういうノウハウがコンパクトだけどぎっしり詰まったのが、本書です。

[24時間365日] サーバ/インフラを支える技術 ?スケーラビリティ、ハイパフォーマンス、省力運用 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

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はてなユーザにとっては、はてなのシステムの裏側というかノウハウも含めて見られるのがいいですね。そういう実例は後ろのほうに書いてあって、前半のほうには自分たちがサーバやネットワークを構築・運用していくときに、参考になるチューニングや最適化のノウハウがしっかり書かれています。ある程度システムを管理した経験がある人(ただしUNIX系のシステムで)には、手元に置いておけば、ちょっと困ったときに大変参考になる本だと思います。

大学のシステムを管理しているもの(半分引退していますが)としては、本書が対象としているシステムは正直結構規模が大きいです。でも、先に書いたように、より良いネットワークサービスやウェブサービスの提供のためには、結構使えるノウハウが書かれていると思います。たとえば、MySQLでデータベースを運用している方は、本書に書かれているレプリケーションから参考にしてみはてどうでしょうか。他にもシステム管理ツールなども紹介されていますから、少しずつ参考にしていけばいいんじゃないかと思います。