教材設計マニュアル

1年くらい前に読んでいて、ざっとですが最近あらためて読み直してみました。サブタイトルにあるとおり、独学つまり教材だけで学習するのを支援するための、教材をいかに設計し作成するかという内容の本です。「マニュアル」と書かれていますが、むしろ「ガイドブック」というタイトルのほうが似合うと個人的には思います。
今の自分の授業の教材作りに大きな影響を与え、それまでの教材作りの考えがそれほど間違っていないことを確認できた本です。

教材設計マニュアル: 独学を支援するために

教材設計マニュアル: 独学を支援するために

結論から書くと、独学を支援するとは、単に教材だけで学習できるということだけでなく、これからの社会に必要な情報活用能力をも支援する教材を作っていこうという目的で書かれた本です。
本書では、プリントによる教材作りを題材としていますが、これからの情報化社会を考えれば、教材のメディアが何であろうが、情報活用能力が重要となります。情報活用能力を育てることで、自分の力で教材の内容を理解し、自分なりのやり方で立ち向かえるようになり、最終的には自分の力で学び続けることができる、そういう意味での「独学」ができるように、さまざまな工夫が書かれています。もちろん、インストラクショナル・デザインやガニェの9教授事象など、教育工学の重要な内容も詳しく書かれています。

具体例としては、魚釣りを教えるための教材作りや、キャラクターの絵を書けるようになるための教材づくりなど、面白く手軽でわかりやすい例がいくつか使われています。また、教材を設計し作るために必要なプロセスの一つひとつを1つの章で説明しており、理解しやすい構成になっています。

個人的に一番役に立ったのは、「出入り口を明確にすること」でした。つまり、学習目標を明確にして、それをもとに教材の出入り口として事前・事後テストや前提テストを用意するということです。私自身が持っている授業では、事前・事後テストを連動してやるのが難しいのでその部分はエッセンスを参考にさせていただき、学習目標を明確にするという部分を大いに参考にさせていただきました。学習した後で具体的に何ができるように・わかるようになったのかを明確にする重要性を改めて認識しました。