皆が知らないかもしれない携帯サイト

「ケータイ文化」と言われたりする、携帯電話での作法や携帯電話用コンテンツとそこでのコミュニケーションについて、一番理解しやすかった本です。タイトルには「大人が知らない」と書いてあるけど、「子どもだって全部把握しできているわけでない」のがケータイの世界ではないのかなぁと、思いました。結局は、運営している側か傍観者しか全貌を把握できない世界ではないでしょうか…

昨日、『モバゲータウンがすごい理由』(マイコミ新書)を紹介しましたが、そこではモバゲーのような勝手サイトに人気が集まった要因として、高いインターネット機能備えた第3世代の携帯電話の登場とパケット定額制を挙げていました。
この2つの要因は、『大人が知らない携帯サイトの世界』で語られている、ケータイ文化を支えているものです。つまり、携帯電話からインターネットという広い世界にアクセスできるようになったことで、利用者が増えると共に、利用者を受け入れる多様なコミュニケーション・サービスが数多く生まれ、その中でPCとは「少し」違う、ある種独自の文化のようなものが生まれてきたということです。
このケータイ文化は、携帯電話の特徴そのものが反映されています。携帯電話は、きわめて個人的な道具です。パソコンのように、他の人と共有することもありません。そして、インターフェースが単純なゆえに、サービス側がざまざまな工夫をし、手軽に自分や仲間たちのためのホームページを持つことができるようになりました。「電話」は1対1の情報交換しかできませんでしたが、インターネットを備えた携帯電話、すなわち「ケータイ」によって自由に多くの人と情報共有できるようになった、ある意味素晴らしい道具になったわけです。

ただ、個人的には、新しく便利すぎる道具であるがゆえに、良くない面に注目が集まっているなぁ、とも感じます。本書では、さまざまなデータやインタビューなどをもとに公平な見方で書かれています。
プロフや学校裏サイトなど、情報モラル的な問題点に対して、その問題点はネットやケータイにあるわけではないことを、きちんと書かれて、好感を持てました。そういう意味では、子どものケータイの利用に疑問を持っている人、また、子どものケータイの利用に無関心な人には、是非とも読んでもらいたいと思います。