新ベテランインストラクターに学ぶパソコンの教え方

最近、情報リテラシ系の実習がうまくいかないなぁ、と思うことのが多かったので、先日近所の図書館で借りた本。タイトルどおり、基本的にインストラクター向けの本です。

新 ベテランインストラクターに学ぶパソコンの教え方

新 ベテランインストラクターに学ぶパソコンの教え方

これまで、某ITベンダーなどでいくか研修を受けたことがあるのですが、基本的にはそういう場で教育を担当される、インストラクターの方々向けの内容が書かれています。インストラクターの定義から、必要なスキル、セミナーの進め方や環境づくりなど、ひと通りの内容が簡潔かつわかりやすく書かれています。かつて受講生だった立場の私から見ると、「そうそう、そういうところ気をつけてくれなきゃ」とか「ほう、あのインストラクターの方、うまくセミナーをさばいていたな」と思うことが多かったです。
では、今の自分の仕事のひとつである、授業という面では参考になることがあったか、というと残念ながらそれほどはありませんでした。その理由はインストラクターが相手をするのは完全に「お客様」であるということ。セミナーに来るのはある程度の学ぶ意欲があり、その意欲の程度がそれなりにそろっている、というところでしょうか。
しかし、セミナーを進める上でのインストラクションのテクニックは、いくつか参考になりました。緊張感を持たせるための質問、モチベーションを保たせるための話術など、授業でも充分使えるテクニックや注意点が本書の後半に紹介されています。
本章を読むと、「インストラクターって大変な職業だな」と思います。中には天才的にほとんど準備なしにすばらしいセミナーをする方もいるそうですが、大抵の方は相手の状況や要求に合わせて数日間のレッスンプランを練り、環境を設定したり時には環境に自分を合わせたりして、長時間のセミナーを実施されます。大学でも集中講義というのがあり、確かに長時間の講義や実習を行うのですが、どこまでプランを練れているかと思うと……インストラクターもすばらしい教育者だと、本書で確認することが出来ました。