先入観と偏った見方にまとも意見が隠れすぎ

以前、id:kanoseさんのところで見て「こりゃ、ある意味すごそうな本だなぁ」と思ってたんですが、先日偶然近所の図書館で見つけたので借りてきました。一応、情報リテラシとか情報倫理とか関係している以上、見過ごせないかなぁと(笑)

ウェブ汚染社会 (講談社+α新書)

ウェブ汚染社会 (講談社+α新書)

アマゾンの書評とか上で紹介した記事を見ると、こりゃアレゲな本かと思ってしまいましたよ。ゲーム脳とかに近いのかと。確かに読みはじめてしばらくは、私もそう思いました。「ネットは危ないものだ」「ネットは子供には危険だ」「ワンセグが危険だ」とかたいした説明もなく書いてあって、論理的な証拠はなんなんだと突っ込みたくなる箇所がいっぱいです。「忘却防止。」では、第一章の大学生への調査に一定の評価をされているようですが、ただのデータのひとつに過ぎないし、内容は卒論レベルで特定の見方に偏っていると思いました。厳しいようですが。
でも、読み進めていくうちに、「そうだよね」「これはまともだな」と思える箇所が多くありました。無論、偏った見方の中から探さないとダメなんですが(汗)たとえば、第二章〜第三章に書かれている学生や生徒・児童たちの現状や声は結構リアルだと思いましたし、ネットの持つ危険性もきちんと割とまんべんなく指摘していると思います。また第四章のウェブの危険性から子供を守るために、大人たちも充分な技術的な知識を持つべきだという主張も納得です。
最後のほうになると、ますますまともな内容になっていくのですが(汗)、最後の最後で「子供たちをネット文化から守らなければならない」と書いてあります。「ネット文化」と「文化」という文字を使ってまで書いていて、なぜそんな文化から守らないといけないのか。情報モラル教育をすることを評価していながら、その具体的な理由が全然訴えられていないような気がしました。ごちゃごちゃ書いてあって、大事なことが読み取りにくくなっている。全体としては、そんな印象を持ってしまいました。