御守りがあればひと安心

子どもとケータイの問題をいろいろ調べたり考えたりすると、結局行きつくのは教育だと思うんです。それも子どもだけでなく、保護者への教育が大事だと感じます。例えば、ケータイのフィルタリングを解除してしまう保護者が結構いるという話を聞いたりします。それも「自分の子どもを信頼しているから」という理由だけで……
というのは、先日発表された、文部科学省の「子どもの携帯電話等の利用に関する調査」の結果のひとつなんですが、こういう重要なデータをもとに、今の子どものまわりにあるネットやケータイについての正しい理解に役立つ本があります。タイトルを見ると、「子どもにケータイ持たせないって本でしょ?」と思われるでしょうが、そうではなくて「持たせるだけじゃだめなんですよ」という『処方せん』なのです。

子どもにケータイもたせていいですか?

子どもにケータイもたせていいですか?

小学校の教員をされていた著者が、数多くの調査や報告書のデータをもとに、子どもとケータイにまつわる問題やトラブルについて解説しています。解説とはいっても「ネットいじめって、そもそも何?」とか「着メロがただで使えるっていいことですよね?」という問いを立てて、それに対する答えという形で、インターネットやケータイのことが今一つ良くわからないという保護者でも理解できるように説明されています。
比較的新しいデータを参考にされて書かれていますし、子どもとケータイやネットにまつわることで抜け落ちていることがないなぁと感心するくらい幅広いトピックを扱っています。本書の元となった、INTERNET Watchの「10代のネット利用を追う」は大変良い記事ですが、本書も大変よい内容だと思います。『処方せん』としてだけでなく、今の時代の保護者にとっての一種の『御守り』として読んでおいていただきたい本です。