教育学という立場からケータイ世代を分析しているんだろうけど…

この本の帯には「小中学生が覗く社会の闇」と書かれていて、たぶんネットやケータイの状況に詳しくない一般の保護者の方々は、すごくドキッとさせれると思います。ですが、この本の内容は、ざくっと言ってしまえば、「教育学者の方が、子供のケータイの取り巻く環境を分析して、その現状を受けいれた上での前向きな対応を大人たちに提言している」という感じではないかと思います。

ケータイ世界の子どもたち (講談社現代新書 1944)

ケータイ世界の子どもたち (講談社現代新書 1944)

ライターの高橋暁子さんもご自身のブログで書かれていますが、わたしも似たような印象を受けました。これまで読んできた、情報モラルやネット・ケータイと子どもたちの関係に関する本や資料を読んでいれば、とくに新しい知見を得たというはなかったです。そして、後半になるにつれて、著者の教育学者としての立場が垣間見える内容になっています。

わたしの知らないことは一つもありませんでした。
「お前が取材を繰り返しているから詳しいだけだろう」と思われるかもしれませんが、データ元はあちこちにあるので、意外とかぶらないデータが出てくるものなのです。
論調が違ったり、違う切り口で書いていたり、それだけで十分面白く読めるものなのに。

自分の足で何も集めてないし、データにも乏しい。
この本ならではのことは何も見つかりませんでした。
携帯電話の怖さとかも感じなかったし、うーん、なんて言うか悪い意味で教科書的なんですよね……。

藤川大祐著「ケータイ世界の子どもたち」 | 高橋暁子のソーシャルメディア教室

いくつかの本を読む時間はないけど、てっとり早く全般的なことを知りたい保護者の方たちには、有用な本かもしれません。しかし、現実はもっといろいろな側面があることも知ってもらいたいです。
INTERNET Watchの「10代のネット利用を追う」という特集は、その点で非常に参考になります。あらゆる立場の方へのインタビューを通じて、ネットやケータイと子どもを取り巻くリアルな現状、情報モラルの今後の課題を考えさせられる内容になっています。とくに、ここ数回の内容は非常に有益な情報だと思います。