まだまだ未成熟な教科「情報」

日曜日は、大阪で開催された「高校教科「情報」シンポジウム in 関西 」、略して「ジョーシン関西」へ行ってきました。全体の感想としては、良くも悪くも大阪らしいシンポジウム。そして、教科「情報」の現状を反映した内容だったと思います。

詳しくは、他のブログで…って書こうかと思ったんですが、今のところ言及されたブログがあまりないので(涙)、ちょっと長いですが、雑感として書いていこうと思います。

講演は、情報工学的な側面、法的側面、教育学・教育工学的な側面、情報教育・学習工学的な側面の、4つの方面からの講演がありました。まぁ、多方面から述べないといけないほど、教科「情報」ってのがいろんな分野に横断しているのがわかります。たぶん社会学とか追加しても問題ないでしょう(苦笑)
それぞれの講演内容はいずれも興味深いものでした。とくに、主催が情報処理学会ということもありますが、教育学・教育工学的な側面からのお話は大変貴重でした。教科「情報」は、扱っている素材のせいもあって、どうしても工学的な側面に偏りがちだと思います。もちろん「教育工学」はありますが、「教育する」「学習する」ということに立ち返った教育学的な見方は重要だなと再認識しました。また、諸外国(とくにヨーロッパ)の情報教育の現状についてのお話も面白く聞かせていただきました。諸外国は、その国ごとの社会的な現状を踏まえて情報教育に取り組んでいるようですが、そのあたりが日本の情報教育ではうまく回っていないのかもと、考えさせられました。

講演の後のパネル討論では、大阪府内の公立・私立の中高の先生からの実践報告がありました。いずれの先生も熱気がこもり…というか大阪らしい発表といったほうがいいですかね(笑)内容的には、学校内や産学共同などでいろいろ工夫されていたり、ほかの学校の教員同士が協力してやっていこうとする熱意が伝わってきました。
ただ、パネル討論後の会場からの指摘のとおり、実践している内容が学習指導要領に沿っているのか、つまり教育の目的や手段が明確なのか、思い付きだったり行き当たりばったりになってないかなぁ、という不安も感じました。

今度発表されるであろう、新しい学習指導要領では、高校の教科「情報」は、「社会と情報」「情報の科学」の2つに分かれます。また、基礎的な操作スキルは、中学校以下(おそらく小学校)の段階で学習することになっています。また、小中高校全体では、情報モラルの教育が重視されます。
個人的には、「ひとつの教科にこんなに内容てんこもりにしてどないするねん」と思っています。たとえば、小学校までの段階で操作スキルを習得なんて、「どのレベルの操作スキル」のことをいってるんでしょう?「中学校でプレゼンできるようになってる生徒がいる」という話を聞きますし、学生からもそういう話を聞きますが、実際に使わせると「操作を『理解』できている」のは、ごく一部だと思います。また、中学校の「技術・家庭」でマルチメディア・コンテンツの作成とプログラミングの両方をさせるそうですが、どちらも時間・手間・準備がすごくかかるものです。全部やらないといけないのでしょうか。いったいどのレベルを目指しているのでしょう?
なんか、本当に必要な大枠の教育・学習目標があまりにもあいまい過ぎて、授業という最も具体的なレベルに落とし込んでも、あいまいさが取りきれていないようにも思えます。そんなことをあらためて思ったシンポジウムでした。