大学での学びのレッスン

最近、大学では初年次教育が注目されています…って全部の大学ではなくって入学してくる学生の学習スキルが頼りない大学とかの半紙です。ええ、うちの職場も含めて(汗)
そこで、大学での学習のしかた・過ごしかたを解説した本が、次々と出版されているのですが、この本もそのひとつ。でも、結構「硬派」かつ「具体的」な内容でした。
やっぱり、近所の図書館で借りた本。こういう本が、大学以外でも手に入るのはありがたいです。

広げる知の世界―大学でのまなびのレッスン

広げる知の世界―大学でのまなびのレッスン

内容は、本と付属のCD-ROMに分かれていますが、本のほうは1学期13週の授業で使えるように、13の章で構成されています。大学とはどういうところか、大学での学習や研究の実際という導入からはじまり、ノートのとり方や情報の収集・整理、レポートの作成と発表とひと通りの内容が揃っています。CD-ROMのほうは、本の付録的な役割とやや応用的な内容を収録しています。クリティカル・シンキングや教員とどのように接すればよいか、パソコンの使い方などを説明しています。
だから、全体としては、実は19章構成。おそらく、著者陣はここまで本にしたかったでしょうねぇ。いろいろあって、こういう形式での出版となったのでしょうが。

各章の内容は、先ほど書きましたが、「硬派」かつ「具体的」に書かれています。「硬派」とは「アカデミック」という意味です。大学という場所での活動について、まじめに書かれています。かといって、現実離れしていなくって、すごく現実感のある内容ばかりです。
また、「具体的」な話に触れながらも、コンパクトでわかりやすく書かれています。実際、こういう初年次教育関係の本を読むと、抽象的な(悪い意味でアカデミックな)話ばかりで、「じゃぁどうしたらええねん」と学生が突っ込みそうな本が少なくありません。その点、この本は、「大学の授業ってこうなんだ」とか「こんな風に勉強しなきゃ」と思わせてくれる具体的な話がいっぱい書かれています。
ただ、各章を担当した著者によって、書き方というか内容のスタイルがかなり違っていて、すごーく詳しく書いてある章もあれば、あっさりと終わってしまう章もあります。あと、著者陣には言語学や教育学関係の研究者がほとんどで、違う分野だとちょっと違うなぁ、と思ってしまうところもありました。まぁ、実際に授業で使うときに教員がアレンジすればいい話でしょう。

全体として、来年度からの自分の担当する授業を考える上で、すごく参考になりました。大学1年生がこれらの内容をある程度理解するのは難しいかもしれませんが、大学生活の参考書として、例えば2年間持っておけば、結構役に立つ本だと思います。