なんともいい難い

高木浩光先生の日記で、ICタグRFID)を使った登校管理システムの実態を取り上げています。これが、まぁ、なんとも…奥村先生@三重大のところでも話題になっています。

2004年から2005年にかけてたびたびNHKニュースやテレビ東京で華々しく宣伝されていた、RFID児童登下校通知システムだが、去年あたりから悲惨なことになっていたようだ。

高木浩光@自宅の日記 - RFID児童登下校管理システムのクオリティは安心安全ソリューションってレベルか

元ネタは、「http://blog.feijue.com/」という小学校の先生の日記。システムの停止や不具合が何度もあって、なのに業者から具体的な改善もなく、途方にくれておられる様子。どうも、当初は出席管理のためのシステムだったのに登下校の安全管理のほうに重視されており、保護者も一連のトラブルを気にしておられるようです*1。そういう状況にもかかわらず、業者の対応はこんなもの。

突然、午後に打ち合わせ。
ICタグの登下校システム安定に向けた話し合い。

提案された内容に具体性がない。
なんともお粗末な内容。

これまでのトラブル。
ほとんどが人災。
然るべき筋からの謝罪要求も無視されたまま。

残念としか言えない。

http://blog.feijue.com/index.php?itemid=95558&catid=4722

高木先生は「まあ、そういう業者いますね。ときどきですが。」とおっしゃってますが、高木先生の記事にトラックバックされている方と同様、私も「業者ってそんなもんだよなぁ」と思っています。人員の問題(システムが動いちゃったら、担当する営業やSEが減る)のも問題ですが、一番の問題は、学校側と問題を共有したり学校側の意図を理解できなくなってくるんですよね。商売的には「とにかく動いてるんだから、いいでしょ」かもしれないけど、現場的にはものすごーく困るんです。

あと、高木先生の記事へのトラックバックや、奥村先生の記事へのコメントとかでも、指摘されていますが、業者やシステムができること(現実)と学校や保護者の考えていること(期待)が、マッチしていないような気がしますね。業者の事例報告を見ると、RFIDで感知した児童の情報(登下校情報)を学校内のサーバで処理して、学校内のサーバから電子メールで通知してるんですよね。一般論ですが、こういうサーバってそんなに高性能じゃないし、学内のネットワークやインターネットへの接続部分が十分じゃなかったりするんですよね。それなのに…おそらく登校時だと思いますが、それなりの設備がないと駄目なような気がします。

およそ30分の間に、数百通のメールを送信するシステムですよ。

http://blog.feijue.com/index.php?itemid=94286&catid=4722

一方で、業者側も、システムができることに対する説明が、不十分だと思います。学校側との共同開発だそうですから、どこまでできるのか、どんな問題点があるのか、という説明があったのかなぁ、と疑問に思ってしまいます。「あれも、これもできますよっ!」的な説明しかしてなかったんじゃないかな、学校側のいわれるとおりでしかしなかったんじゃないかなぁ、と想像しちゃいます。

まぁ、きちんと考えてシステムを作ってる業者さんもあるようです。こちらのブログなんかを見ると、業者側の考えがある程度見えて、安心できるような気がします。