FDフォーラムに参加

先日ちょっとだけ書きましたが、職場のお仕事で、先週末京都で開催されたFDフォーラムに参加しました。12回目だそうですが、私は初参加。

2日間連続で、1日目は京都産業大学、2日目は京都駅前のキャンパスプラザ京都で行われました。下に内容とその感想を書きますが、最初に全体の感想を書いておきます。今回は仕事としていったわけですが、大変勉強になりました。自分の授業のこと、自分の職場のこと、大学での教育という大きな枠組みのこと。いろいろ考える、良い機会になりました。

1日目の感想「京産大は遠かった…」

基調講演は、「頭がいい人、悪い人の話し方 (PHP新書)」で著名な作家で京産大客員教授の樋口裕一氏。これからの社会には発言力が必要だけど、日本人は苦手。なぜなら発信を学んでいなし、そのための文章も書けない。作文なんか教えてちゃ駄目で、高校までに小論文を書かせて、発言力と論理力を身につけるべき、というお話でした。ポイントは2つ。

  • 書けば文章が読める
  • 「型」があればできる

ひとつめのポイントでは、旅先でスケッチをすれば風景をしっかり観察することになるのと同じで、本などから文章を盗んで書くことで知識が定着すると述べておられました。2つめのポイントでは、文章の型とは論理の手順であり、それをいくつか覚えて練習することで、論理のしっかりした説得力のある文書が書けるようになると述べておられました。いずれも納得。とくに型を覚えるのは、武道でもそうですが、基本だと思うんですよね。なんでも自由にやればいいわけではないですしね。あと、小論文の指導方法についても話され、添削に限らず、教育全般に通用するなぁと感心しました。そうそう、しっかり本の宣伝もされました。

発信力 頭のいい人のサバイバル術 (文春新書)

発信力 頭のいい人のサバイバル術 (文春新書)

次に、中津井さん@リクルートと中尾先生@京都精華大理事長と橋本先生@岡山大による、学生が伸びる教育についてのシンポジウム。中津井氏は大学の外からの視点ということですが、だいぶ会場の反感をかっているような気がしたのですが気のせいかなぁ(汗)とにかく、学生をどの方向にどこまで伸ばすかというベクトルを、各大学が考えなければならないというお話。中尾氏は「レジメどおりに話すのはやまて(笑)」とおっしゃって、今の学生には元気がなく、その要因に、大学を取り巻く雑音がうるさい、国家として教育にお金がかかっていない、学生や生徒の今の精神風土をあげておられました。その上で、学生に少々厳しくても様々な体験をさせることが必要と述べられました。橋本氏からは、岡山大学のユニークな授業改善について話があり、学生も参加した教育改善の内容を紹介されました。なんか3人の方向性の違いがはっきりして、討論にはなってなかったんですが(笑)、結構ためになりました。

2日目の感想「結構勉強になりました」

2日目は、分科会にわかれての報告と討論。授業評価とOCWに関する分科会に参加しました。
午前中は、宮崎先生@同志社大から、OCWに関するお話。OCWの国内外の状況や大学コンソーシアム京都で開発しているOCWについて聞かせていただきました。京都の大学の単位互換制度のためのOCWだそうで、今回は残念がらシステムを見ることはできませんでしたが、4月以降公開されるようです。
午後は、大きく分けて2つのお話があって、まずはユニークな授業評価の事例報告から。浅野さん@立命館大による、立命館大の授業評価アンケートの取り組みと今年度作った新しいアンケートについてお話がありました。立命館大の授業評価は歴史もあり学生も含めた大学全体で授業改善に取り組んでいます。さらに新しいアンケートでは、学期の途中に簡単なアンケートを実施したりQRコードを使った学生情報の詳細な分析をされています。すごいです。村上先生@京都外国語大からは、実施率ほぼ100%の授業評価の取り組みの紹介。小規模校だからこそ実施率や回答率が高いんでしょうねぇ。あと、満足度が低い科目には、学長名で授業改善のお願いの文書がでるそうで。違う意味で、すごいなぁ(汗)寺川先生@同志社女子大からは、自由記述に関するお話。A4用紙1枚に書かせるそうですが、これって「どんんどん書いてね」という大学からのメッセージにもなるんじゃないでしょうかね。面白い取り組みだと思います。
午後2つめの報告は、椋本先生@立命館から、単位互換制度に加盟している大学に各大学の授業評価について調査し、そこから単位互換制度で使う授業評価アンケートの案を作られた話でした。スライドを秒速でめくっていかれるので、話についていくのが大変(汗)アンケートの案は、「各大学での設問項目を平均化したものだな」と目新しい印象はありませんでしたが、これが多くの大学が参加する単位互換制度でどう使われていくかは注目したいところです。
この分科会は「双方向性」がキーワードだったんですが、OCWと授業評価という報告自体自体、関連した話があったわけではなく、その点がちょっと残念でした。しかし、最後のほうで宮崎先生@同志社大がおっしゃっていた、教育コンテンツがオープン化され広く共有されていくことで、いずれは研究業績のように教育業績も教員の業績評価につながるというコメントが印象に残りました。