ソーシャルブックマークの効用

積読状態の記事のサーベイ、その3。ある非常にまれな病状の患者に対して、検索サイトや医学データベースを駆使して対処したお医者さんのお話。症例報告ベースのソーシャルブックマークが必要なじゃないかと訴えておられます。全文引用したいくらい、興味深いです。

この指摘は、本当だと思います。的を射ている。

「教科書・論文・症例報告」

  • 教科書は、まとまっている代わりに時間の概念が薄くて、作者の思考をトレースできない
  • 論文は、作者の思考過程が反映されているけれど、知っている事の確認にしか使えない
  • 症例報告はすぐに役に立つけれど、信憑性を保証できなくて、検索も不可能

経験も大切だけれど、やっぱり知識はもっと大切。それぞれ一長一短があるけれど、一番現場から遠いのが教科書で、現場に一番近いのが症例報告。

さらに面白い指摘があります。それは、「論文を読む(理解する)には基礎体力がいる」ということです。当たり前といえばそうかもしれませんが、臨床の現場では、論文は劇薬である、というくらいの認識がいるようです。

で、肝心のブックマーク方面の話ですが、もし症例報告のソーシャルブックマークが実現したら、医者の学習形態が変化する可能性があると、提案されています。

「問題発生 => 論文で確認 => 誰かの経験で確認 => 実践 => 教科書で確認」がいままでの流れであったが、これが「問題発生 => 同じ症例を検索 => 実践 => 論文や教科書で確認 => 参考になった症例報告に投票」になりうる。

今までは他の医師との学習結果を共有することは出来なかったけれど、投票システムを実装すると、全ての医師がデータベースの洗練に貢献できることになる。

こういう使い方、一般のソーシャルブックマークでもされているのかなぁ。diggあたりがそうかもしれないけど、たぶんちょっと違うと思います。このお医者さんが提案されているやり方はすごく前向き。本当にWeb2.0志向といっていいと思います。