ネットワーク時代に対応した知恵と技
先日近所の図書館で借りた本。社会学や情報教育、ネット活動など、さまざまな視点から、ネットワーク時代に必要な知性を検討しています。
インフォアーツ論―ネットワーク的知性とはなにか? (新書y)
- 作者: 野村一夫
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2003/01
- メディア: 新書
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個人的に気になったのは、情報教育への記述。この本、2003年発行なので、ちょうど教科「情報」が始まる前後のころに書かれているわけです。指摘としては、ネットワーク時代に必要な情報を教育するのではなく、結局は今までどおりの情報処理教育がおこなわれそうで、「台無し世代」を生むことになる、と述べています。ある意味あたってると思います。
肝心のネットワーク時代に必要な知性(つまり知恵と技)には、5つの能力をあげています。今見ると当たり前。発酵された当時なら、それなりに先見性があったと思います。
- メディア・リテラシー
- 情報調査能力
- コミュニケーション能力
- シティズンシップ
- 情報システム駆使能力
4番目はいかにも社会学だなぁ、なんて思ってしまいますが、結局はネットワーク社会といえどもそのにかかわるのは人間であること、ネットワークでは情報が重要かつ価値があること、情報は集団や環境と相互に作用することを認識すれば、いずれの指摘も至極当然のものだと個人的には思います。また、これらの能力は、学校教育だけでなく、企業や社会でも養成すべきだという指摘も、個人的には同意です。
あと、本書の面白い点は、結構情報倫理を重視していること。これは上記能力のコミュニケーション能力やシティズンシップに関連することなので当然なのかもしれません。でも、今の情報倫理や情報モラル教育が「危険から避ける」「危険なことをしない」と危険性を中心に考えているのに対して、情報環境としてのネットワークを「生き抜く方法」と捉えているのがいいですね。