昨年最後に読んだ本、今年最初に読んだ本

昨年は新書で終わったのですが、結構面白かったですね。

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)」や「グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)」よりも、読みやすい。それは、単にわかりやすく書かれているということではなし、丁寧に説明されているだけでもない。GoogleAmazonが中心となってネット社会で起こっている現象を、そのしくみを多くの事実を積み重ねながら解きほぐして述べてくれています。
「多様な情報が生み出される」「多様な意見が支持される」と一見多様化を容認していると思われる現在のネット社会が、実はGoogleAmazonなど「勝ち組」による一極集中化を起こしているということを、Web2.0GoogleAmazonアーキテクチャを参照しながら、解き明かしていきます。とくに、「金持ちほどますます金持ちになる」という現象を使って一極集中を説明した、第5章「スケールフリー・ネットワーク」はとても面白く読めました。
本書では、「フラット化」「ロングテール」「集合知」など、現在もてはやされているネットの幻想を取り上げています。とくに最後の章では、発言力・影響力のある情報によって、思考から多様性が失われてしまう危険性を訴えています。ネット世界がより良いものになるかどうかは、私たち自身の思考のしかた次第なのかもしれません。


そして、最初に読んだのがこちら。近所の図書館で昨年借りたもので、そろそろ返却しないといけないので、急いで読みました(汗)

数式を使わないデータマイニング入門 隠れた法則を発見する (光文社新書)

数式を使わないデータマイニング入門 隠れた法則を発見する (光文社新書)

全体としては、タイトルどおり、データマイニングの入門本。数式は一切なく、データマイニングの必要性やその背景、おおまかな手順やいくつかの手法を、簡単なデータを使いながら具体的に説明しています。データマイニングって何のかを感覚的に知りたい人にはいいですね。
説明に使われているデータが具体的で面白いです。「禁欲の誓いを立てた仲間のなかで異性交遊をしている裏切り者を探し出す」「k-meansによるモビルスーツの分類」「自己組織化マップによる戦闘機の分類」など。著者の趣味がわかりますね(笑)肝心な説明がないところもありますが、その部分は難しかったり数式が必要だったりするので、仕方ないのでしょう。なにせ、いろいろな手法を紹介してくれて、あらためて勉強になりました。
著者としては、最後の2章がもっとも訴えたかったことじゃないかなぁ、と思います。実社会のITによる情報管理、監視社会について述べているのです。IT技術の高度化によって、私たちのあらゆる情報が蓄積され、データマイニング技術によって私たちの行動や生活が解明され管理されるようになるかもしれません。本書は、そんな社会になったことを意識させる「情報リテラシ」本のように思えました。